夢日記
6/19
ベットの足元に誰かがいるような気がして、目を閉じたままかっている猫の名を呼んだ。枕元にいる猫がむにゃむにゃと口を鳴らすと伸びをしたので私の額に手が当たる。
足元の気配はやむことがなく、目を閉じたままねむそうな猫を胸元まで抱き寄せ頭をなでる。
思い切って目を開けてみようか・・・。
猫を抱いていれば、何か大丈夫だという気になり心で「せーの」と小さな声で勢いづけ、猫を抱いたままがばっと起き足元に目をやった。
すると、そこはベットではなく小高い崖に位置する草原で背後には波が岩に打ち付ける音がしていた。
目前には初夏を迎えた青々と凛々しい山が連なり、背後の崖には何本かの立派な木が生えているようで私の座っている位置にはその木々の影が見えた。
自分が、ボタンを繕うのをさぼっていたパジャマを着ていることを恥ずかしく思い木の陰に隠れ「どうか人が来ないように」と外をうかがうと子供たちがはしゃぎながら数人こちらにむかって走ってくる声が聞こえた。
私は崖側に体をひそめ子供たちの様子をうかがった。
猫が暴れるのをなだめ、ぎゅうっと猫の頭を押さえて「シーッ」と声をかける。
足元には崖があり、さっきとは真逆にそこには影などなくジリジリと太陽が照り付けていた。
気が付くと照りつける太陽でパジャマが焦げて背中の部分が破けてしまっていた。
私は猫を抱いたまま体をぎゅっと丸め子供たちが去るのを待ちながら体を隠すものを周囲に捜した。
もうぱじゃまの上着は全くなくなってしまい子供たちの目を盗み全速力で山のふもとへ向かう。
山のふもとには、真っ赤な鳥居の向こうに長い階段がありはだしの私にはごつごつとして歩くのには困難な小石がたくさん転がっていた。
幸い人影はなかったので鳥の横の茂みに身を隠すと少し一休みをした。
あたりが暗くなり肌寒さを感じるころ、ベットの足元に感じた気配と同じものをまた茂みの背後に感じた。ベットのことを思い出すと
ああそうだ。私は夢の中にいるんだ。と半ば冷静に自分を納得させることができた。
瞳を閉じて、もう一度目を開けた。
残念ながら同じ景色が広がり夢から覚められない。
「夢だ!!夢なんだよ!!」
そう声にすると、後ろの気配がぬっと近寄りあたりを少し寒くさせた。
何度かそれを繰り返し目が覚めた。
口がカラカラに渇き、隣でスヤスヤと猫は眠っていた